前回は、成長実感が感じられないとして、企業の労働分配がスケープゴードにされている感が強いということを、見てきましたが、前回の続きです。
次に、国民総生産が伸びているにも関わらず、緩やかに減少し続けているものがあります。
「国民所得」です。
支出面でみた場合、投資は減少していると述べましたが、それに反比例して、民間最終消費は増え続けています。ということは、所得が伸びてないのに、支出を伸ばしてるからだろ!節約しろよ!という見方もできますが、ここにはいわゆる”合成の誤謬”とか難しい問題があるので、割愛します。
しかし、今回は「成長してんのになんで実感できないのか?」がお題なので、ここではより根本となる原因を見ていくために、さらに国民所得について、見ていきたいと思います。
ここで、国民所得と国民総生産の関係ですが、
国民所得=国民総生産-固定資本減耗-間接税
という関係があります。間接税については、ほぼ10兆円で一定で無視できるといえば無視できるので、国民総生産との差を生んでる原因は、ほぼ固定資本減耗であるといえます。
ここで固定資本減耗ですが、いわるゆる減価償却費のことです。支出面でみた場合の投資にあたる総固定資本形成については、近年減少傾向にあるといいましたが、その償却負担額である固定資本減耗は、90年以降一貫して増加しています。
総固定資本形成も、最近では減少傾向にあるのですが、バブル崩壊後は、ゼロ金利政策と市中に有り余っていたお金により、バブル期を優に上回る額で推移していました。
その結果GDPは増えたけど、それを分配面から見ると、その増加率は、固定資産の償却負担を上回る程力強いものでなかったために、結果として所得が全く増えず、むしろ減少傾向にあります。このように、投資に対して、回収面におけるその償却負担割合が増加しているということは、投資の収益率が低下していることを意味します。
このような国全体の投資収益性の低下の原因は、円高による輸出競争力の低下なのかどうか?という話になると今回のお題からずれるのでその話はやめておきますが、もともと、人口減少経済のなかで、景気刺激策としてゼロ金利を長期間続けて投資をすれば、景気は回復するけれど、それに見合った需要はないから、デフレになるのは確かだとは思います。
しかし、この政策により積みあがった有り余る生産余力を生かして成長するにはどうすればよいのでしょうか?
円安・TPP・・・外国ですよね。